抄録
炭酸ガスと温熱体を誘引源とした蚊誘殺器を試作し、名古屋市内の市街地の住宅地域、丘陵地の住宅地域および工場地域において、その防除効果を検討した。調査期間は2005年5月から7月の2ヶ月間で、はじめの2週間はトラップを4日に一度作動させ、次の2週間は連続作動させることを2回くりかえした。採集された蚊は種類ごとに数えられた結果、アカイエカ群とヒトスジシマカが認められ、そのうちの90%以上がアカイエカ群であった。前半の1ヶ月は蚊が増加する時期でありトラップの防除効果を検討できなかった。後半の1ヶ月は発生量も安定する時期であり、この時期では市街地の住宅地域で防除効果が示唆された。この地域の蚊類の発生源は、雨水枡や園芸用水盤であり、発生源としては小規模でトラップを設置した近くに見られた。他の地域(丘陵地の住宅地域および工場地域)では防除効果と思われる結果は得られなかった。これらの地域では発生源が特定されず、かなりの広域で蚊が発生している地域と思われた。