抄録
先天性無痛無汗症の6カ月女児および3歳2カ月男児の脳誘発電位を検討した. 2例とも聴性脳幹反応 (ABR) の潜時は正常であったが, 閃光刺激視覚誘発電位 (F-VEP) でIV波 (P100) 潜時の遅延, 短潜時体性感覚誘発電位 (SSEP) で中枢伝導時間 (N13-N20間潜時) の著明な延長が認められた. 男児例はWest症候群後で脳波上多焦点性てんかん放電を認め, SSEPの所見はその影響を受けていると考えられた. 乳児例はてんかんの合併もなく, F-VEPやSSEPの異常は本疾患における中枢神経発生障害を反映した可能性が考えられた.