抄録
鹿児島大学多島圏研究センターのプロジェクトの一環として,ミクロネシア連邦ポンペイ州のポンペイ島と離島のモキール環礁とピンゲラップ環礁で蚊の分布調査を実施した.ポンペイ島には首都パリキールがあり,ミクロネシア連邦で最も大きな島である.ポンペイ島は面積334km2,最高地点791m,平均気温27℃,年間降水量約4,800mm,人口約38,000人である.ポンペイ島の東に位置するモキール環礁とピンゲラップ環礁はどちらも平らな3島からなり,その合計の面積は1km2より少し大きい程度である.どちらの環礁でも人々は1島だけに居住しており,人口はモキール環礁で約200人,ピンゲラップ環礁で約350人である.蚊の幼虫の採集場所は,ヤシ殻,バナナ切株,空缶,ガラス容器,プラスチック容器,古タイヤ,鍋,廃棄冷蔵庫,ドラム缶,井戸,コンクリート貯水タンク,タロイモ畑などであった.
ポンペイ島ではAedes (Stegomyia) sp. 6,Ae. (Stg.) sp. 8,Ae. oaklei,Cx. quinquefasciatusおよびCx. mapleiの5種,モキール環礁ではAe. (Stg.) sp. 6,Ae. (Stg.) sp. 7およびCx. quinquefasciatusの3種,それにピンゲラップ環礁ではAe. aegypti,Ae. (Stg.) sp. 7,Ae. vexans noctanusおよびCulex quinquefasciatusの4種,合計で8種が採集された.