抄録
西ケニア・Suba県・Gembe East地区では、2007年から2年間に渡り外国のNGOやケニア政府によって殺虫剤含浸蚊帳が大量に配布され、蚊帳の普及率が高まった。しかし、その一方で5歳児以下のマラリア感染率は40%と非常に高い。Gembe Eastに隣接する地区ではAnopheles gambiaeとAn. funestusがマラリア媒介蚊であることが報告されている。そこで本研究では、蚊帳の分布状況や使用状況調査と並行して、CDCライトトラップ(LT)を用い屋内・屋外・家畜舎採集を行い、蚊帳の効果について検証を行なった。調査は2009年5月から7月(大雨季から乾季の始まり)にかけて、のべ320軒を対象に19:00から翌7:00までLT採集を行い、LT回収時に蚊帳を使用した人数、蚊帳の数、蚊帳の種類などをヒアリングと目視により確認した。LT採集で採取されたハマダラカは、An. gambiae complexとAn. funestus complex、An. ziemanni、An. pharoensisの4種類であり、An. gambiae complexとAn. funestus complexについては、現在PCRによって種同定解析を進めている。蚊帳の効果判定には、家屋内での蚊帳の数、蚊帳を使っている人数、未使用者数、屋内採集で採取された蚊の数、屋内採集と屋外採集の蚊の比率、吸血蚊の比率を要因因子として解析を行った。その結果、蚊帳の使用数が増えれば、家の中の蚊の比率が有意に減ると言う結果が得られ、蚊帳の蚊に対する効果は示唆された。一方、幼児感染率が依然として高い数値を維持していることから、蚊帳使用方法の改善や他の防除方法との組み合わせが必要ではないかと考える。