抄録
マラリア予防のための防蚊には、広く蚊帳が使われてきおり、その効果も認められている。しかし、蚊帳を毎晩設置するのは手間がかかり、また 、家の中で一部の者が使用しないなど、家や季節によって使用状況が安定しないことがある。そこで、新たな防蚊法として、軒下や天井等の隙間ににネットを張り、蚊の侵入を防ぐハウススクリーニングが試行されている。この防蚊法では屋内全体への蚊の侵入を防ぐため、屋内で就眠する全ての住民に有効であり、また夜間のみならず一日を通して防蚊効果がある。今回、我々は、通常のネットではなく、ペルメトリンをポリエチレンに練りこんだ住友化学(株)製 オリセットネットを使用した。その結果、ハマダラカは、ネットを張っていないコントロールの民家と比べて、87―99%の減少、イエカに対しては、60-80%の減少がみられ、よりハマダラカに効果があることが認められた。よって、ハウススクリーニングは、マラリア対策の一つの方法として有効性が示唆された。