日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第62回日本衛生動物学会大会
セッションID: A04
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徳島県阿南市の水田地帯における疾病媒介蚊調査
*津田 良夫金 京純
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抄録
四国地方東部の水田地帯および周辺丘陵地を対象として,2009年5月から10月の期間毎月1回の頻度で疾病媒介蚊調査を実施した.1kgのドライアイスを誘引源とするトラップ12台を用いた24時間採集を3日間継続して,合計18種類5172個体が捕獲された.コガタアカイエカが全体の60%を占め,ついでアカイエカ群,カラツイエカ,ヒトスジシマカの順であった.カラツイエカの構成割合が全体の10%とやや高いことが,過去に調べた出雲平野などの蚊相と異なっていた.水田地帯と丘陵地帯との境界に位置する溜池の周辺では捕獲された種類数が多く,湿地に発生する種類だけでなく,樹洞など小さな溜まり水に発生する種類(例えばキンパラナガハシカやフタクロホシチビカ,ヤマトクシヒゲカ)や日蔭にある湿地に発生する種類(例えばコガタクロウスカ,エセシナハマダラカ)など多様な蚊群集が形成されていることが示唆された.海岸沿いの2次林にサギ類が集団で多数繁殖している場所(サギ山)があり,林内の下草などで休息している成虫の捕虫網による採集を行った.その結果9種類687個体の蚊が採集され,このうち368個体(53.6%)は体内に未消化の血液を保持しているか,あるいは完成卵を持っていた.総捕獲個体に占める吸血蚊の割合は,アカイエカ群が77.7%と最も高く,ついでトラフカクイカの66.7%,コガタアカイエカの42.2%であった.
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© 2010 日本衛生動物学会
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