日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第64回日本衛生動物学会大会
セッションID: A13
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第64回日本衛生動物学会大会
ビクトリア湖周辺地域における蚊帳の大量配布の評価
*皆川 昇Gabriel DidaJames Kongere池田 恵理子胡 錦萍皆川 こごみ二見 恭子川田 均Sammy Njenga高木 正洋
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抄録
2005年のロールバックマラリア会議において,2010年までに,妊婦と幼児の80%以上をマラリアから守ることを目標とされ,ケニア政府は,2006年より蚊帳とアルテスネートを含む合剤の普及をすすめた. その後,感染が減少したとされるが,蚊帳と薬がそれぞれどれほど寄与しているかを示した研究はなかった.また,蚊帳配布後の使用と感染との関係を明示した研究はなかった.本研究ではビクトリア湖周辺地域において,10歳以下の子供を対象に,蚊帳の使用と感染状況を明らかにし,関連性を検証した. 感染は,熱帯熱マラリアを対象とした簡易キット(RDT)とPCR法で確認した.蚊帳の使用は,検査日の前夜に蚊帳で寝たかを聞くことで確認した. 蚊帳使用率は 61.1%であり,5歳以下の幼児の使用率は74.0%であった. RDT陽性率は51.1%であり(2010と2011年),RCR陽性率は54.8%であった(2011年のみ). 蚊帳を使用している子供は感染率が低く,年齢が高いほど蚊帳の使用率が低くなり感染率が高くなった.蚊帳の使用が,感染リスクを約23-30%まで下げうることが示されたが,この地域では目標に達しているとは言えず,特に,5歳以上の子供の蚊帳の使用を高める必要がある.
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© 2012 日本衛生動物学会
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