抄録
富山県の標高約660mの山間地に開設されている国際キャンプ場ではイヨシロオブアブの発生数が多く,演者の一人渡辺は 1995年から利用者の吸血被害を軽減する方法を探ってきた.現在,二酸化炭素誘引ボックストラップによる誘殺を行い,利用者への吸血飛来の抑止を図っている.これとは別に同一地内に非誘引型マレイズトラップ(タウンズ型)を設置して,イヨシロオビアブの発生動向を観察している.今回,2002年から 2011年までの捕獲状況をまとめたので報告する . キャンプ場のほぼ中央にボックストラップを1台設置し(上流),そこから下流100mに他の1台を設置した(下流).下流ボックスから南東70mにマレイズトラップを張り(林側),さらに,上流ボックストラップから南西 50mに他の1張りを設置した(川側).設置期間は毎年ほぼ 7月下旬から9月下旬までの2ヶ月間で,1週間おきに捕獲アブを回収した.その結果,捕獲数には年変動が見られ,2002年が最も少なく,2011年が最も多くなった.つまり, 2002年から 2011年に向かって捕獲数が増加して行く傾向がみられた.その中で 2009年の捕獲数が顕著に少ないのが観察され,その原因として7月上旬から8月上旬までの4旬の日照量が他年に比べ明瞭に少ないこと,気温が低いことが影響したと考えられた.この期間はイヨシロオビアブの蛹化から羽化にあたる重要な時期である.