日本重症心身障害学会誌
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A06 脳性麻痺児に認められた睡眠時無呼吸の詳細検討
深堀 俊彦高畠 和章石立 誠人小濱 雅則遠藤 明代河野 千佳近藤 信哉玉川 公子小保内 俊雅新島 新一大澤 真木子
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2010 年 35 巻 2 号 p. 229

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抄録
脳性麻痺児の死亡原因に突然死がある。突然死の原因は様々ではあるが、睡眠中の自律神経調節の破綻がその一つと考えられる。特に前頭葉または側頭葉を焦点とするてんかん症例では、てんかん関連突然死(SUDEP)の危険が高まるとの報告がある。今回、睡眠時呼吸異常を主訴に当院を受診した脳性麻痺児2例を詳細に検討したので報告する。 症例 (1)1歳7カ月男児。在胎35週双胎第2子、出生体重1735gであった。双胎間輸血症候群のため多発性脳軟化となり、痙性四肢麻痺と精神発達遅滞を呈している。覚醒時から上気道狭窄音が聴取され、睡眠時は明らかな無呼吸を呈する。ポリグラフ(PsG)の結果では、閉塞性無呼吸に混じって、脳波異常に伴う心拍の乱れや中枢性無呼吸を認めた。脳波検査を実施したところ、多焦点性の棘波を散在性に認めた。治療としてカルバマゼピン内服とCPAPを開始し、改善を認めている。 (2)4歳0カ月男児在胎31週双胎第一子、出生体重1600gであった。脳室周囲白質軟化症のため、痙性四肢麻痺と精神発達遅滞を呈している。覚醒時から上気道狭窄音が聴取され、睡眠時無呼吸も明らかである。PsGの結果では、閉塞性無呼吸および低呼吸が認められ、SpO2は常に95%以下であった。気管支鏡検査所見では口蓋扁桃肥大とアデノイド肥大を認めた。アデノイドおよび扁桃摘出を予定しているが、それまでの間CPAPにより改善が認められている。 考察 症例(1)のように脳波異常に伴う自律神経調節の異常はSUDEPの原因となりえるが、痙攣発作が明らかでない場合、抗痙攣薬による治療を開始されないこともある。胃食道逆流や舌根沈下など、体位の調節などにより無呼吸が軽快するような症例においても、PsG検査と気管支鏡検査を実施し、無呼吸の程度と種類、およびその原因を検索することは、脳性麻痺児の突然死防止に必要と考えられた。
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© 2010 日本重症心身障害学会
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