抄録
はじめに
重症心身障害児者(以下、重症児)の多くは呼吸障害を有しているので急性期、慢性期の呼吸管理が重要である。今回、当院人工呼吸器症例を検討したので報告する。
対象と方法
2003年から2009年の7年間に当院(東京小児療育病院、みどり愛育園)人工呼吸器症例の経過と予後等を検討した。
結果
呼吸器使用症例は80症例であった。在宅人工呼吸器療法症例は30症例であり、内訳は気管切開後人工呼吸器20例、NPPV(非侵襲的陽圧換気)10例であった。みどり愛育園入所者で長期人工呼吸器使用は12症例(気管切開後10例、NPPN 2例)であった。急性期のみの人工換気は、当院入所者で14症例(挿管6例、気管切開後6例、NPPV2例)、在宅患者では16症例(挿管10例、気管切開後4例、NPPV 2例)であった。その他、他院在宅呼吸器管理患者の当院入院は8例ですべて気管切開後であった。次に、急性呼吸不全時の人工換気は、2002年以前はすべて挿管であったが、2003年から2006年では挿管15例、NPPV 3例、2007年以降は挿管7例、NPPV 6例と最近は急性期NPPVが増加しており全例で著効している。また、慢性期呼吸器症例でも2007年以降はNPPV 5例、気管切開2例とNPPV導入症例が増加している。さらに、在宅呼吸器30症例と入所者呼吸器長期使用12症例に関しては長期経過はいずれも安定していた。在宅呼吸器患者は家族の介護負担が大きいためレスパイト入所等の支援を受けていた。
考察
当院では近年、NPPV導入例が増えており効果が認められている。NPPVは挿管、気管切開を回避できるため早期導入は有効と考えた。今後は患者のQOLの向上につながるような治療法の選択が必要と考えた。在宅人工呼吸器症例の長期管理を良好にするためには呼吸状態の定期評価を含めた健康管理と家族の介護負担軽減のためレスパイト入所等の充実した在宅支援が必要と考えた。