抄録
重症心身障害児施設入所者の内容も、従来の様な脳性麻痺と精神遅滞を中核とするいわゆる重症心身障害児・者のみでなく、後天性の障害、頭部外傷や術後脳腫瘍などの症例も受け入れざるを得ない状況になっている。当院でも7歳時頭蓋内咽頭腫発症、腫瘍摘出、放射線療法、14歳時汎下垂機能低下症でホルモン補充療法、16歳時腫瘍の再発で再手術、術後記銘力の低下、感情不安定、虚言を来たし、その後も手術・放射線療法・化学療法を行うも、術後脳内出血を生じ、20歳でてんかん発症、33歳時水頭症のため、脳室腹腔短絡術施行、術後低Na血症、てんかん発作重積、脱水、誤嚥性肺炎、人工呼吸管理、33歳から諸機能の低下、36歳以降は寝たきりとなり、36歳胃瘻造設術、42歳時気管切開、44歳時重度知的障害、弛緩性四肢麻痺、汎下垂機能低下症、中枢性尿崩症などで入所し、その後の全身管理、中枢性尿崩症の治療、特にデスモプレシンの至適量・投与間隔の決定、さらに感染症発症時の体液異常のコントロ−ルについて興味ある経験をしたので報告する。