抄録
はじめに
Aセンター(以下、当センター)に入所している重症心身障害児(者)(以下、重症児・者)は、平均年齢45歳となり高齢化と重症化が進み、保育士にもより専門的な療育活動の提供が求められている。昨年の第35回学術集会において、保育士の研修・教育体制の必要性を報告した。21年度保育士研修では、保育士が困難と受け止めている項目の「医療安全」「保育記録」「事例検討」についての研修を実施した。22年度からは、転入保育士の療育実践能力向上のため、プリセプター制度を導入することができたのでここに経過報告する。
対象・方法
21年11月に常勤保育士45名(20年度21年度転入保育士10名を含む)にアンケート調査を実施。研修に参加した保育士42名と不参加の保育士12名の研修に対する効果と意見を分析、評価した。
結果・考察
「医療安全」「保育記録」「事例検討」の研修に参加した保育士は、78%が「役立った」と評価しており、専門的知識や技術を学ぶ機会になったと考える。残り22%は「どちらともいえない」と回答しており、その理由は、研修を実施する時期や進め方についての要望であった。研修に不参加だった保育士からは、「研修は時間かかるが、毎年交代で参加したい」「伝達講習があると良い」の意見が75%であった。転入保育士に対しては、利用者のニーズに応じた療育実践について困難を感じる事が多いとの全員の意見を受け、プリセプター制度を導入し、年間計画・指導方法・チェックリストを作成し、指導している。
結論
研修内容は、保育士のニーズに応じていることから参加した保育士からの評価も高い。また、事例検討は、センター内の発表のみならず学会への発表にも繋がり研鑽が深められている。保育士の研修や教育体制を確立することは、保育士の提供する療育の質の向上に役立つと考える。