日本重症心身障害学会誌
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P1002 重症心身障害児(者)の口腔内乾燥に対するGFO ®の有効性の検討
津野 絵里花宮崎 かすみ大久保 由美子
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2010 年 35 巻 2 号 p. 268

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抄録
はじめに 口腔乾燥の強い重症心身障害児(者)(以下、重症者)に対し、口腔粘膜の修復を促進するグルタミンを含むGFO ®(大塚製薬)を使用し、口腔内の湿潤効果が得られるか明らかにするために、口腔粘膜保湿剤(以下、保湿剤)とGFO噴霧後の口腔内水分量を測定し、比較検討した。 方法 対象:家族の同意を得た、閉口できず口腔乾燥の強い重症者2名。 実施方法:1)対象患者に対して1日2回口腔水分計(ムーカス)を用い口腔内の水分量を保湿剤、GFO共に7日間ずつ測定〔(1)口腔内水分量をムーカスにて測定(2)吸引付球状ブラシで口腔粘膜付着物除去(3)歯ブラシでブラッシング(4)白湯で流す(5)噴霧(6)口唇の動きを観察(7)直後、1時間後口腔内水分量を測定〕。2)保湿剤とGFOを使用した7日目に24時間の口腔内水分値を2時間ごとに測定。 分析方法:1)1週間測定した保湿剤とGFOの平均値を判定基準を用いて評価しT検定(SPSS)にて差を分析。2)口唇の動きは「有」「無」で比較。3)7日目に2時間ごとの値を測定し、1日の効果の傾向を分析。 結果及び考察 口腔ケア直前と直後の測定では、A氏は保湿剤使用時(前:4.75・直後:22.60)、GFO使用時(前:3.59・直後:18.21)共に、口腔ケア直後に口腔内の水分量が一時的に上昇したが、高度乾燥(25未満)を示した。噴霧1時間後も保湿剤6.35、GFO9.69共に保湿効果はみられなかった。B氏は口腔ケア直前と直後では、保湿剤9.50、GFO21.82共に高度乾燥を示したがGFOが高値であった。噴霧直後、保湿剤はやや乾燥28.40、GFOは正常33.65を示した。噴霧後1時間の保湿剤使用時8.35、GFO使用時22.20で有意差(P<0.05)があった。GFO噴霧時に口唇の動きが見られ、GFOの成分が味覚を刺激し、唾液分泌にも影響したのではないかと考える。 まとめ 口唇の動きのあるB氏の場合、保湿剤よりGFOが軽度湿潤効果があった。 
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