日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P1003 口腔ケア充実の取り組み
−良好な口腔内環境を保つために−
山崎 千啓桐野 達雄濱田 仁美高崎 ゆかり
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2010 年 35 巻 2 号 p. 269

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抄録
目的 重症心身障害者は、歯の形態、歯数、歯列(歯並び)や咬合(上下顎の噛み合わせ)についての障害により特異な症状を示すことがあるため、重症者の状態に応じた磨き方を考慮することが大切である。昨年度の研究で使用したラベンダーティと現在使用している麦茶の比較検討に加え、対象者の状態に応じた口腔ケアの手技統一を行うことで、良好な口腔内環境を保つことができたので報告する。 方法 研究対象:みどり2病棟入院患者 41名 研究期間:H21年7月〜H21年12月 研究方法:看護師2人で口腔ケア実施し、口腔ケア観察の指標表を用いて、口腔ケアチェック表で評価する。 結果 1. 3名がMRSA陰性化につながった。 2.経口摂取対象者のうち、歯科医師のコメントにおいて、3名口腔内環境が改善された変化が見られた。 考察 3名がMRSA陰性化につながった。このため、ラベンダーティーから麦茶に変更してもMRSA保菌者の減少がみられている。麦茶使用による口腔ケア実施でも看護師2人で口腔ケアを十分に行い、含嗽水も排出できる状態であったことが、口腔内環境を保つことに効果的であったと考えられる。また、手技の統一により効果が得られたと考える。スタッフの時間や手技、注意点などの実施チェックすることにより、口腔ケアの責任感や意欲を引き出すことにつながり、口腔ケアへの関心が高まり、口腔ケアの必要性を再認識することができたので、今後も日々の口腔ケアの充実に取り組んでいきたい。 結論 1.ラベンダーティーや、麦茶使用に関わらず、看護師の手技の統一により、MRSA陰性化が見られた。2.経口摂取対象者の口腔ケア実施は、看護師の協力体制や対象者に合った方法による口腔ケア実施をしていくことが今後の課題である。
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© 2010 日本重症心身障害学会
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