抄録
はじめに
当病棟では非経口摂取患者に対して1日1回、口腔ケアを実施している。しかし病棟には口腔ケア手順のマニュアルはなく、介助者により個人差がみられた。また口腔内に乾燥した唾液や痰の付着、歯肉からの出血や腫脹、口臭が改善できていない現状があった。そこで現在の口腔ケアを見直し、手技を統一したことにより患者の口腔内環境の改善を図れたので報告する。
方法
1.病棟看護師を対象に口腔ケアの現状のアンケート調査、2.口腔ケアの手順の作成と実施、3.revised oral assessment guide(ROAG)をもとに口腔環境評価表7項目1)口臭 2)歯の汚れ3)唾液の粘稠度 4)舌苔 5)歯肉出血 6)口腔粘膜7)口唇を作成、4.口腔内の状態の点数化5.実施前後の口腔内環境の比較
結果
1.質問紙調査結果より1)看護師は患者が開口困難な為十分に磨けない。2)手順手技が不統一。3)誤嚥の心配がある、と答えており90%が現在の口腔ケアに対して十分ではないと感じていた。2.口腔環境評価表より、口腔環境は全ての項目に改善がみられた。その中でも1)口臭 2)歯の汚れ 4)舌苔 5)歯肉出血の4項目に著明な改善がみられた。
考察
当病棟の看護師は、口腔ケア改善に関する関心が高く、必要性・重要性を認識している。今回口腔ケア手順を作成し統一した手技で実施すること、口腔環境評価表の作成により口腔内観察を客観的に行い評価できることは、口腔環境改善に効果があると言える。