抄録
はじめに
重症心身障害児(者)の多くは自己決定能力が乏しい上、全員が介助を要する。当病棟でもほとんどの患者様がオムツを使用している。また、排泄物による汚染が衣類・シーツに及ぶこともあるため、オムツにパットを何枚も重ねて使っており、明らかにオムツをしていると分かってしまう方も多い。そこで今回、スタッフの意識をもとに個別性に応じたオムツの使用を検討したので報告する。
対象と方法
対象は、入院中の男性患者2名、女性患者3名とA重心病棟に勤務する看護師、看護助手の21名。オムツコンサルタントに講習を受けたのち、オムツの使用枚数や当て方について3日間実態調査とオムツの当て方について工夫していることを検討前後にアンケート調査した。
結果・考察
オムツの当て方変更後、尿漏れが減った患者2名、変わらない患者3名であった。尿漏れが減った要因としては不要なオムツを取り除き、正しい方法を習得したことが考えられる。また、尿漏れが変わらなかった要因は、手技の未熟さと方法が不適切だったと考える。スタッフは、漏れないようにきつくしめるという傾向と漏れを防ぐためにパットを多く当てるという傾向があった。しかし、オムツの当てすぎによって漏れやすいことを94%の人が知っており、認識と行動の矛盾が生じていた。実施後は、尿漏れ防止のためにパットを増やすという意見が減り、オムツ交換時間の間隔が短い時は必要最低限のオムツの選択が実施できるようになった。今回の検討でパットの使用枚数が減り、尿漏れが減り患者の安楽に繋がったと考えられる。また、矛盾が生じていたスタッフの知識と行動の統合ができたと考える。