日本重症心身障害学会誌
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P1015 特性要因図を用いた異食の原因分析を試みて
須藤 耕仁
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2010 年 35 巻 2 号 p. 275

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抄録
はじめに 過去3年間で当病棟において発生した異食インシデントは37件であった。今年度に入り、手袋を異食した事例が続発し、手袋の廃棄方法の変更と手袋の後始末に着眼したおむつ交換車の導入及びオムツ交換・食事介助後の病棟内ラウンドを開始した。しかし、ラウンドによる落下物の発見が6カ月間で39件あり、依然異食のリスクは高い状況であった。そこでこの現状を問題視し、看護師が関連している要因は何であるのかを「特性要因図」を作成する中で共有することが出来た。 研究方法 1.研究対象 病棟職員23名 2.研究期間平成21年4月1日〜12月31日 3.研究方法1)異食要因抽出。2)特性要因図の作成・グループ分類。3)要因に整合性の確認・キーワードの抽出。 結果及び考察 合計288の要因が集まり、そこから4つの大骨「意識・人・方法・環境」に分類した。各グループの内容は以下の通りである。1.意識は51の要因があり、カンファレンス・モチベーション・その場しのぎを中骨とした。2.人は76の要因があり、実施側から見た手順・認識・行動を中骨とした。3.環境は75の要因があり、使用物品・オムツ交換車・業務・個別衣類の使用・患者を中骨とした。4.方法は70の要因があり、手袋の扱い・ラウンド・手順の完成度を中骨とした。これらを用いて特性要因図を作成し、モチベーション・認識・個別性・業務に着眼した。この結果を踏まえ話し合った結果、モチベーションが低いのではなく、各個人の異食の共通認識が不足すると、リスクの予見能力、異食の概念、患者への影響度の判断基準に違いが生じ、各個人の手順への認識や行動面に影響する。さらに、患者の情報共有が問題行動中心の希薄なものになる傾向があり、細かな情報共有が不足することでも、人の意識や行動に大きく影響することが共有することが出来た。今現在もカンファレンスの重ね、職員の意識行動改革に着手している。
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© 2010 日本重症心身障害学会
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