日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
B23 医療的ケア研修会の展開
ーケアの現場のニーズの検討ー
菅井 裕行田中 総一郎
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2011 年 36 巻 2 号 p. 302

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抄録
はじめに 医療的ケアを日常的に必要する子どもの増加に伴って、これらのケアを非医療者が行えるような法整備も進み、医療と他職種との協働でケアを支えていく方向性がしだいに明確になってきている。ケアの現場(教育・福祉)ではケア技術に加え、協働でケアを実施することの意義について学ぶ機会が必要だと考え、研修会を実施してきた。 方法 今回考察の対象とするのは、宮城教育大学で実施している5回のケア研修会と特別支援学校での教員研修会である。研修内容は、ケア研修会では昨年報告した内容に加えて、1)医療的ケアと教育、2)てんかん発作の観察・対応、3)気管切開と胃瘻、4)導尿、を取り上げた。参加者全員に配布したアンケート(質問紙)を資料として質的データ分析を行い、さらに学校研修会への参加教員やコーディネーターからの聞き取りも考察対象とした。 結果 研修会の対象としてはヘルパー・福祉施設職員・訪問看護スタッフらの他に、学校勤務の看護師、養護教諭をも対象とした。参加者から回収したアンケートを分析することを通じて、「新しい知識・技能の獲得」「技術面での向上」「協働することの重要性」「コミュニケーションとしての意義」「医療以外の場での支援の在り方」「生活という視点」「生命の尊厳」など今後、教育をはじめ様々な場で医療的ケアを実施していく上で重要になる視点が帰納的にコーディングされた。 結論 今後、医療的ケアが日常性を獲得していく上で、医療・教育・福祉のスタッフが相互に協力しながら研修会などの支援を行い、知識・技術の普及、現場でのコラボレーションの仕組みづくり、ケアそのものの意義の確認について取り組んでいくことが必要と考える。
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© 2011 日本重症心身障害学会
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