抄録
施設に入所する重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))を対象に、呼吸パターンとしての胸郭上・下部の運動の同調性が肺炎の罹患に関係しているのかについて分析を行った。また、肺炎罹患や呼吸障害との関係が考えられる摂食・呼吸機能、脊柱変形との関連についても同様に検討を行った。その結果、呼吸パターンの異常性および脊柱の変形は、直接的に肺炎罹患と関連しないことが示唆された。また、摂食・呼吸機能に関しては、誤嚥を認める者、気管切開例が多く肺炎罹患を呈していた。このことから、重症児(者)の肺炎罹患と関連する指標を検討する上では、胸郭運動の同調性や脊柱変形自体ではなく、これらがどのような姿勢・運動機能や呼吸機能の異常と関連しているかを総合的に捉えていくことが必要であると考えられた。