日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
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O-1-B-10 気管切開部に発赤を繰り返す患児へのアプローチ
河村 亜妙美佐藤 加奈子岩谷 麻貴子阿南 静子和気 美紀
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2012 年 37 巻 2 号 p. 270

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抄録
目的 小児の気管切開後に生じる皮膚トラブルとして、(1)カニューレ固定時のテープによる摩擦(2)発汗や流涎に伴う気切孔周囲の汚染(3)感染に伴う分泌の増加などがあげられる。今回、吸収性の高い女性用吸収ライナーを使用することで、湿潤や発赤の軽減に効果があったので報告する。 対象 13トリソミー5歳男児、気管切開をしており、食後の反芻や流涎が多いために常に気切部周囲の湿潤がみられ、皮膚の発赤が持続している。 方法 (1)ガーゼに女性用吸収ライナーを貼付し、気切部の肌に当たる部分に使用した。(2)女性用吸収ライナー使用前後の発赤の範囲と浸出液の吸収量を比較検討した。 成績 女性用吸収ライナーは、通常のガーゼよりも吸収量がよく、皮膚の湿潤改善がみられた。発赤は持続したが、ガーゼのみの使用に比べ、軽減がみられた。 結論 小児は成人に比べて皮膚が薄く弱いため、皮膚トラブルが生じやすい。特に幼児に関しては発汗や分泌物が多く気切孔周囲の皮膚トラブルに最新の注意を払わなければならない。女性用吸収ライナーを使用することのメリットとして(1)皮膚の湿潤の軽減(2)肌触りがよいことから小児の弱い皮膚には刺激が少ない(3)皮膚の汚染が少ないことからガーゼより交換頻度を少なくすることができる(4)処置において生じる皮膚とガーゼによる摩擦を最小限に出来、刺激によって発生する掻痒感が軽減できることがある。今後もケアの統一をスタッフに周知徹底することでさらなる改善につなげられると考える。
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© 2012 日本重症心身障害学会
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