日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-C-05 スヌーズレンを実施して
−QOLの向上を目指して−
大路 初美西澤 悦子北山 真奈美河本 亮子
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2012 年 37 巻 2 号 p. 328

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抄録
目的 当院では、入所者の高齢化・重症化が進み、対象者自身の身体状況や生活環境も変化してきた。今回、スヌーズレンルームを活用し対象者に物理的環境を整え、快い感覚刺激を提供することで楽しみや安らぎの体験となり、スヌーズレンが日常生活の楽しみにつながることを目的として実践したので報告する。 対象者 A氏 女性 39歳 脳性麻痺 精神発達遅滞 てんかん 大島分類1 行動特性 筋緊張 個別支援 1)心身のリラクゼーションを図る 2)興味関心の幅を広げる 期間 平成24年2月13日〜5月1日 毎週1回 計10回実施 方法 環境構成にはミラーボール・ファイバーグロー・バブルユニット・カーテンライトスター等の機器と音楽・アロマオイルを使用。リラックスできるポジショニングとエアーマットを温めて使用。緊張・発声・笑顔・あくび・軽眠・追視・注視・SpO2・心拍数の回数チェックを行い評価する。 結果・考察 1)緊張はほぼ見られず、発声・笑顔の表出回数は保育士の声掛けによる開始終了時に多く、軽眠回数も前半に多い。追視・注視回数は後半増加したことから、活動を予測し楽しみにしていると考えた。 2)心拍数について10回中7回減少したことからリラックスできたと考える。数値が一定しなかった3回については、外部の声、室温が低い、援助者の違いが緊張を誘発する要因になった。3)SpO2の数値は開始時より変動なしもしくは、上昇傾向が見られた。 まとめ スヌーズレンは、対象者が楽しむことが目的であり評価しない効果を求めないと言われるが、今回の実践結果より対象者がスヌーズレンルームにおいてリラックスし非日常的癒しの空間を楽しめたことが確認できた。スヌーズレンは誰もが体験できる活動であるが、個々の対象者のニードに合った環境を工夫することが大事である。今後もスヌーズレンを活動や生活の楽しみにつなげていきたい。
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© 2012 日本重症心身障害学会
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