日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
症例報告
重症心身障害児(者)の腎結石症に対するクランベリージュースの効果
松井 欣也金本 郁美中島 浩司玉村 宣尚田中 守廣内 智子
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2013 年 38 巻 1 号 p. 143-147

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抄録
重症心身障害児(者)(以下、重症児)は、長期臥床の状態が多く、腎結石症を伴うリスクが高いとされている。今回、当院に長期入院中の重症児のうち、尿路感染症を繰り返し、腎結石を認める2症例を対象に、尿路感染症予防の効果があるとされているクランベリージュース(以下、CBJ)の有効性について検討を行った。方法として、毎日15時にクランベリーUR50®を常温で胃瘻から投与した。結果、症例Aは両側に認められた結石が投与開始15カ月後に完全に消失および縮小し、症例Bは右側に認められた結石が投与開始7カ月後に完全に消失した。これは、CBJに多く含有されているキナ酸が体内で酸性物質である馬尿酸に変化し尿中に排泄されることで、アルカリ尿が正常なpHに近づき、結石の主成分であるリン酸カルシウムが排泄され、結石が形成されにくい状態となったものと考えられる。結論として、CBJは腎結石症改善に一定の有効性を示すことが示唆された。
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© 2013 日本重症心身障害学会
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