日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-1-D-08 クイズで行う感染対策名人の育成
ー多職種の感染対策意識向上を目指してー
山口 智子向井 志乃
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2013 年 38 巻 2 号 p. 305

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抄録

はじめに 重症児(者)施設は多職種協働の現場である。感染対策に関する意識は職種や個人間でレベルの差がみられ、従来実施してきた年2回の集合研修ではレベルアップに限界があると思われた。そこで、年間を通して継続的に実施でき、個々に無理なく知識の習得ができる方法として、「感染クイズ」を実施し一定の効果がみられたので報告する。 方法 実施期間は2009年4月〜2013年3月。毎月の感染対策委員会において実施し、委員は各部署に持ち帰り全スタッフに同様に実施する。問題は、医療職向け(A問)と全職種向け(B問)を作成、回数は4月〜翌年1月までの10回で、2月に年度末テストを実施、結果を3月に公表し全問正解者には「感染対策名人証」を交付する。クイズは「感染対策チェックテスト100 病院感染対策キホンのき®」「同 治療処置編®」「同 感染症対策編®」(日本看護協会出版会編)より当施設の状況に合うように改変し出題した。 結果 参加者は各年度ほぼ全職員(207名〜220名)で回収率は96.9〜100%であった。出題範囲は、A問には血管内留置カテーテル、尿路カテーテル、人工呼吸器等、医療処置に関する問題を多く、B問には手指衛生、環境整備等日常業務に沿った問題を多く出題した。また、インフルエンザ等の季節性感染症、風疹などマスコミ等で話題になっている感染症も適宜組み込んだ。正解率は、2009年度 88%、2010年度以降は、A問約87〜90% B問約78%〜88%で推移している。 考察 前年度末に実施した「感染クイズ」に関するアンケート調査では、83%が日常業務に役立っていると回答している。クイズという気軽な手段で無理なく知識を習得し、年度末テストで再確認をするという方法は、職員にも受け入れられていると思われる。また部署別、職種別の結果を出すことによりそれぞれに不足している知識を再確認できる。感染対策に対する意識の向上に「感染クイズ」は有用であると考える。

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