日本重症心身障害学会誌
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P-1-F2-04 気管切開をした利用者の退院指導に対する取り組み
守 真人
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2013 年 38 巻 2 号 p. 335

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抄録
目的 重症心身障害児(者)は、知的障害や身体的障害によりセルフケアが困難である。そのため、在宅療養を行う際には、家族の介護が必要である。しかし、在宅療養を実施するにあたり、家族が抱える不安は多数存在すると考えられる。今回、喉頭気管分離術後の短期利用者を受け持ち、家族へ退院指導を行うこととなった。家族には、喉頭気管分離術を受けたことによる、気管内吸引に対する不安や、ボディイメージの変化に対する受け入れを進め、スムーズに在宅療養へ移行ができるよう関わる必要があった。そこで、今回実施した退院指導を振り返り、在宅でも継続したケアを行うためにはどのような指導が有効か明らかにしたのでここに報告する。 方法 事例報告 40代男性、手術後のケア目的で入院。入院時は、カニューレフリーの状態。在宅での介護者は70代の母親。在宅訪問看護は週2回、通所は週5日間利用している。 退院までに解決すべき課題 1.気管内吸引手技の習得 2.喉頭気管切開分離術を施行したことによる、家族のボディイメージ変化に対する受容 3.通所での気管内吸引 成績 家族の喉頭気管切開分離術に対する思いを傾聴することにより、ボディイメージ変化に対する受容を進めることができた。気管内吸引の指導は、写真の提示やチェックリストの作成により、病棟スタッフおよび在宅スタッフ間で情報を共有することができ、統一した指導を実施することができた。通所での気管内吸引は、通所スタッフを交えたカンファレンスを実施することに、カニューレフリーの状態でも吸引が可能となった。 結論 1.ボディイメージの変化に対する受容を進めることが、在宅療養を行うためには必要 2.在宅療養を行うためには、様々な関連職種との連携が必要であり、カンファレンスは重要な役割を担っている。 3.スタッフ間で統一した指導を行うためには、情報の共有ができるツールを準備する必要がある。
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© 2013 日本重症心身障害学会
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