日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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一般演題
P-1-F4-16 摂食機能療法の導入
プライマリーナースをリーダーとした看護過程の展開
藤原 章子高野 真
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2013 年 38 巻 2 号 p. 360

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抄録

目的 A病院は重症心身障害児(者)病床80床を持ち、患者の80%に摂食嚥下障害がある。その改善を目的として摂食機能療法を導入した。 方法 摂食嚥下機能の改善に向け、多職種による摂食嚥下プロジェクトチームを立ち上げ、栄養士による食内容指導、PTやSTおよび歯科衛生士による摂食機能間接訓練、STによる直接訓練、保育士を中心とした食環境指導等を行った。摂食機能療法の実施における看護チームの役割は、看護過程の展開を円滑に行うこと、多職種が専門性を発揮できるよう情報共有のリーダーシップをはかることとした。アプローチをする中で、看護師はどの場面にも協働した。看護過程の展開はプライマリーナースがリーダーシップを発揮しメンバーに患者情報を提供しながら実施および計画の立案修正を行った。 結果 A氏は訓練当初、口唇閉鎖ができず、舌突出もありスムーズに嚥下ができなかったが、間接訓練・捕食訓練を中心に行った結果、口唇閉鎖ができるようになり、食物の取り込みが良くなった。体重が36.1kg→43.9kg、TPが6.1→6.8に改善した。また、薬物コントロールも同時に行い、ADLが拡大しQOLも向上した。 B氏は間接訓練・捕食訓練を実施し、開口状態が改善した。当初より食事量にむらがあり、誤嚥もあるため経管栄養を併用していたが、姿勢の管理・気道クリアランスを継続することで誤嚥が減少、主な栄養は経口で確保できるようになった。C氏は薬の副作用による歯肉の増殖で口腔内環境が悪化し、食事摂取困難となり、途中で摂食機能療法を中断した。2012年度は12名の患者に対し摂食機能訓練を行い8名の患者に嚥下機能が改善した。 結論 プライマリーナースが中心となり、 看護師が多職種と連携しながら、看護過程の展開を行うことは、摂食嚥下障害の改善に役立つばかりでなく、QOLの向上にもつながった。 

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© 2013 日本重症心身障害学会
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