日本重症心身障害学会誌
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ランチョンセミナー1
重症心身障害児(者)における低カルニチン血症のリスク管理
S2 神経内科の立場から
荒畑 創
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2014 年 39 巻 2 号 p. 219

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抄録
当院は、重症心身障害児(者)病棟で80床、神経難病病棟・筋ジストロフィー病棟で200床の療養介護病床を有する長期療養を中心とした病院である。このような病床の患者において、カルニチン欠乏症は注視すべき疾患である。これには、一次性と二次性があり、共に結果的に組織内カルニチン含有量が減少し、脂肪酸がエネルギー源として組織内で利用されるという生理作用が損なわれる病態となる。カルニチン欠乏症の症状は多様であり、飢餓時のエネルギー不足によって生じる筋力低下、易疲労感、非(低)ケトン性低血糖、意識障害、けいれん、およびミトコンドリア機能障害による高アンモニア血症がある。しかしながら、本邦の一般的な経腸栄養剤にはカルニチンを配合していないものがほとんどであり、長期間経管栄養をせざるを得ない症例に関しては、カルニチン欠乏症に注意していく必要がある。また1日のカルニチン必要量についても明確な数値がないため、投与量については苦慮するところである。近年、経管栄養中で抗てんかん薬内服中の重症心身障害児(者)におけるカルニチン欠乏に関する報告や血液透析によりカルニチン欠乏となった患者へのカルニチン補充による心機能改善についての報告等はあるものの、このほかの疾患におけるカルニチン欠乏症の有無、病態については明らかではない。今回われわれは、筋ジストロフィーやALS(amyotrophic lateral sclerosis;筋萎縮性側索硬化症)など、疾患の原因がカルニチン代謝とは違うことが明らかな疾患において、骨格筋の減少に伴った摂食嚥下機能低下により将来的に長期間経管栄養が必要となるような筋萎縮を来す患者に注目し、評価・加療を行った。2年前に当院においては、原因不明の動悸や低血糖症状が出現した長期経管栄養中のデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者において、カルニチン欠乏症を経験した。この経験から、今回、長期経管栄養中の筋萎縮のある神経筋疾患患者と、筋萎縮のない神経疾患患者での血清遊離カルニチン濃度およびそれと経管栄養期間について比較検討を、また、L-カルニチンを投与した患者の臨床症状の変化についても検討を行った。 略歴 1997年 長崎大学医学部卒業  長崎大学医学部附属病院(研修医) 1997年 5月 福岡県田川市立病院 1998年6月 日本赤十字社長崎原爆病院 1998年 12月 長崎労災病院(内科医師) 1999年4月 九州大学医学部附属病院(医員) 2000年4月 国立療養所筑後病院(神経内科医師) 2001年1月 九州労災病院(神経内科医師) 2001年10月 九州大学医学部附属病院(医員) 2002年4月 八木病院 2002年10月 国立病院機構大牟田病院(神経内科医師) 2007年4月 ~現在に至る
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© 2014 日本重症心身障害学会
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