日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-1-B01 ホワイトノイズによる睡眠リズム障害改善の試み
古月 大樹後藤 敬博宮根 一男橋爪 智代
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2014 年 39 巻 2 号 p. 226

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抄録

はじめに 重症心身障害児(者)では不眠など睡眠リズムの不規則さが見られることがある。乳児に対してホワイトノイズは胎児のときに聞いていた母親の心臓の鼓動や、胎盤の血流の音に似ているため、安眠に導く効果があるという報告がある。そこで夜間覚醒している睡眠リズム障害のある利用者に対してもホワイトノイズが睡眠誘導に有効であるか検討した。 研究方法 睡眠リズム障害を有し、家族の同意が得られた2名を対象とした。A氏 (56歳男性) 脳性麻痺 B氏(41歳女性) 脳性麻痺・レノックス症候群 周波数が異なるホワイトノイズ音源を7種類用意した。両名共に不眠時にブラウンノイズが穏やかになる様子が見られたため、これを使用するとした。 実施期間 1期:2013年8月〜9月、不眠時にブラウンノイズを30分、胎児が体内で聞いている音量と同じぐらいの音量の60〜70dbで流した。 2期:2013年9月〜11月、客観的測定のため、不眠時にブラウンノイズ使用の前後に唾液アミラーゼ値を側定し、ストレス値の変化を調査した。ブラウンノイズ使用後、入眠していれば測定せずとした。 結果 A氏1期では12回中10回(83.3%)入眠した。2期では15回中6回(40%)入眠した。アミラーゼ値は9回中6回の低下認めた。B氏1期では4回中4回(100%)入眠した。2期では2回中1回(50%)入眠した。アミラーゼ値は1回中1回の低下認めた。 考察 今回は2名での検証であったがホワイトノイズの効果はあった。1期では、両名共に高い比率で入眠を認めた。2期では両名共にアミラーゼ値の低下は確認出来たが、唾液アミラーゼ測定自体が利用者に不快を及ぼし、入眠を妨げる要因となり、1期と2期の結果に差が出たのではないかと考える。重症心身障害児(者)でのホワイトノイズ使用例がないため、今後の取り組みの結果によっては、睡眠薬を使わず入眠を促す1つの手段になる可能性がある。対象者を増やして検討したい。

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© 2014 日本重症心身障害学会
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