抄録
はじめに
Aさんは一日を通して頻繁に服噛み行為が確認されている。衣服は唾液で広く汚染され、ときには破損にまで至っている。この行為は衛生面、異食の危険性などからも好ましくない行為と考え、出現頻度の高い時間帯に着目し、この行為が減少するための関わり方を検証したので報告する。
対象者
46歳 男性 脳性麻痺、知的障害、小頭症(VPシャント術後)、てんかん 太田ステージ1−2(ボールをにぎって一人遊びが日常となっている。)
方法
Aさんの1日の服噛み行為の観察を24時間実施し、どの時間帯に多く見られるかを観察シートを使って集計、分析をする。また、アプローチ方法として「環境」「遊び」「音楽」の各々の要素を取り入れたセッションを立案、観察シート作成し、実施前後の服噛み状況を観察し評価を行う。
結果
部屋の一部をカーテンで仕切り外部と遮断した「環境」を設定し、そこに「遊び」を取り入れた結果、服を噛む行為は17%減少した。さらに「音楽」を加えた結果、25%の服噛み行為の減少が見られた。「音楽」の効果を見るために「音楽のみ」BGMとして傍で流した結果14%の服噛み行為の減少が見られた。
考察
個別の空間を確保してより家庭に近い環境を設定し他者との関わりや温もりから安心感を多く持てた。また、受動的音楽療法を取り入れ、人との触れ合いを重視し、音楽に合わせて身体を動かし遊ぶことがA氏の気に入った遊びであった。童謡がもつ1/fゆらぎのリズムを一定の時間聴くことが、より情緒の安定へとつながったことが、服噛み行為の減少となったものと考える。
結論
一対一の「遊び」を通じた関わりの時間を設けること、「環境」に「音楽」を取り入れることにより、一日に於ける服噛み行為の減少につながり効果的関わりとなった。