抄録
背景
がんの生涯罹患率は男性で60%、女性で45%と推定されているが、重症心身障害者においても今後増加が予想される。一般にがんは進行性であるので、可能であれば、重症心身障害者においても、早期発見、診断、治療が望ましい。演者の施設では、市町村のマンモグラフィによる乳がん検診を家族が希望する場合には、看護師同伴の受診支援を行ってきた(第37回・39回学術集会)。また、大腸がんの早期発見を目的に検診に準じた便潜血反応検査を一部の患者に実施し、陽性者の一部には大腸内視鏡検査を実施してきた。マンモグラフィ受診支援も、大腸内視鏡検査も、利益と不利益を文書において家族に説明し同意を得た場合のみ実施してきたが、家族側もこれまでがんを身近な疾患としては考えてこなかったと思われる側面があり、医療に関する意思決定が容易でない場合があった。
目的
重症心身障害者のがん医療に関する家族の意向や意識に関する既存の資料を調査し、今後のがん医療の指針作成の基礎的資料とする。
方法と結果
PubMedで、"cancer"[title] & ("treatment" | "care" | "screening") & ("handicap" | "developmental disorder" | "cerebral palsy" | “mental retardation” | “intellectual disability”) の検索式で検索すると106文献がヒット。乳がん検診・治療と子宮がん検診に関する論文各10篇、4篇、大腸内視鏡検査に関する論文1篇、肺がん治療に関する論文1篇、意思決定・疼痛評価・緩和医療に関する論文各1篇があったが、重症心身障害者に相当する患者の家族の意識等を系統的に調査した文献は無かった。
結論
重症心身障害者のがん医療に関する家族の意向や意識についての調査研究が必要と思われる。