抄録
目的
脳性麻痺を中心とした症候性側弯変形は、低年齢で発症し重度の変形まで進行しやすい。座位保持困難や呼吸障害のほか介助量も増大し、日常生活動作に重大な影響を及ぼす。しかし症候性側弯変形に対する有効な保存的治療は確立していない。当院では動的脊柱装具(dynamic spinal brace; DSB)を用いた保存治療を行っている。今回DSB使用に伴う介助者の主観的評価として遂行度と満足度を調査し、DSBの日常生活動作における効果を検討したので報告する。
方法
当院にて2013年4月〜2014年3月にDSBで保存治療中の患者45例(脳性麻痺34例、染色体異常4例、筋ジストロフィー2例、レット症候群2例、その他3例)を対象とした。COPM(Canadian Occupational Performance Measure)の評価尺度を参考に、側弯変形に伴い日常生活動作に影響を及ぼすと推測される8項目(側弯の進行予防、座位・立位の安定性、更衣介助、移乗介助、手や目の使用、呼吸、食事、疼痛)についてDSBの装着時、非装着時での介助者の遂行度と満足度を調査した。また、それぞれの項目と年齢、Cobb角、DSBの一日の装着時間との相関を検討した。なお、本研究に際し院内の倫理委員会の承認を得た。
結果
調査時の平均年齢は14.6歳、平均Cobb角は、非装着時55.8°、装着時37.8°であった。DSBの装着で「側彎の進行予防」「座位・立位の安定性」「手や目の使用」の3項目に関しては遂行度、満足度ともに有意な改善を認めた。年齢との相関では、高齢である程DSB装着時に移乗介助の満足度、遂行度および呼吸状態の満足度が高い傾向を認めた。一方で更衣の項目では高齢である程DSB装着時に満足度が低い傾向を認めた。Cobb角との相関は、Cobb角が大きい程DSB装着時に移乗介助の遂行度、満足度が高い傾向を認めた。装着時間との相関はどの項目も認められなかった。
考察
症候性側弯変形に対するDSBの使用は、日常生活動作の改善に有効である可能性が示唆された。