日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-2-D26 重症児における姿勢と心拍変動の関連性
−健常者の比較より−
多田 智美中 徹
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 39 巻 2 号 p. 280

詳細
抄録
はじめに 重症心身障害児(以下、重症児)に対しては日常的に身体機能の維持向上やQOL保障を考えて腹臥位を導入しているが、その臨床的な意義が十分解明されているとはいえない。そこで重症児の姿勢と心拍変動の関係に着目し健常者との比較を行ったので報告する。 方法 脳性麻痺児はGross Motor Function Classification System(以下、GMFCS)により運動障害重症度で分け、1−4群9名(GMFCS 1:2:3:4=3:1:3:2名)(男:女=8:1)18.2 ± 7.7歳と5群13名(男:女=8:5)13.2 ± 3.1歳とした。対照群は11名(男:女=4:7)20.9 ± 0.8歳であった。仰臥位、腹臥位、前傾座位を順不同に各15分間保持し、自律神経指標として血圧と心拍変動をPOLAR−8000X ®で測定した。結果はMan Whitney検定、Friedman検定により有意水準5%で検討、対象者と保護者に口頭説明し文書で同意を得た。 結果 環境統制の結果、どの群も騒音は60dB以下、室温25〜29℃、湿度は40〜60%の環境で測定が行えた。姿勢間比較では対照群の交感神経指標は前傾座位が腹臥位より高かった。血圧は5群の収縮期血圧が前傾座位より腹臥位で高かった。運動重症度比較では、副交感神経指標はすべての姿勢で対照群が5群よりも高かった。一方交感神経指標では仰臥位は対照群と1−4群が5群よりも低く、腹臥位で対照群は1−4群より低かった。 考察 姿勢間比較から、健常者は前傾座位のみで交感神経が働き頭部の位置により自律神経系の調整が働いていると考えられた。一方、重症群ではどの姿勢においても、交感神経、副交感神経ともに差は認められず、頭の位置が高い前傾座位よりも腹臥位で収縮期血圧が上昇した。このことから重症児では自律神経の調整機能は低下している可能性があると考えた。運動障害重症度ではどの姿勢でも重症児は健常者よりも交感神経が高く、重症児では健常者と比べて自律神経系の興奮性が高まりやすい可能性が示された。
著者関連情報
© 2014 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top