抄録
はじめに
石川県では重症心身障害児者医療の分野において、関係する各医療機関の連携を強化する目的で、2012年より「石川県重症心身障害地域ネットワーク」を設立し、この事業の一環として、これまで詳細が不明であった石川県内の重症心身障害児者医療の実態を把握するために一斉アンケート調査を行った。
方法
アンケートは2013年5月、石川県内の重症心身障害児者医療に関わる23の病院(小児科)、施設を対象に実施した。対象患者は 1.大島の分類で分類1〜4)にあたる方。2.原因となる疾患が小児期に発症し、15歳までに重症心身障害児者となられた方(現在の年齢の上限はなし)。3.2013年5月1日の時点で、各病院、施設の小児科に通院あるいは入院中の方、とした。調査は、1.現在通院、入院中の重症心身障害児者の実数把握と、各施設が提供可能な医療内容を調査する「施設別調査」と、2.個々の患者の年齢、居住地、重症度、医療的ケアの有無等、より具体的な内容を調査する「患者個別調査」を行った。
結果・考察
アンケートの回収率は 19/23 (82.6%)であった。把握できた在宅者数は288名(男性168名、女120名)、入所者数は305名(男168名、女137名)であった。人工呼吸器を要する患者数は在宅者で12名(金沢地区10名、加賀地区2名で、能登地区0名)、入所者では45名で、うち39名が一つの施設に集中していた。在宅者は県内すべての地域に分布していたが、重症度の高い患者が奥能登の過疎地区で生活するには医療体制が十分ではないことが改めて浮き彫りとなった。また県内の人工呼吸器を要する患者は、そのほとんどが非常に限られた施設のみで管理されているのが現状で、今後、入所出来ずに在宅医療に移行せざるをえない患者が増加することは避けられず、地域の在宅医療のサポート体制の強化が急務であると考えられた。