抄録
はじめに
過敏性肺臓炎は真菌胞子や有機塵埃の反復吸入で感作されて発症するびまん性間質性肺炎である。初期症状は発熱や咳嗽、労作時呼吸困難などで小児例の報告は少ない。今回過敏性肺臓炎と診断された重症心身障害児の1例を報告する。
症例
診断未確定の奇形症候群で重度知的障害、てんかんをもつ大島分類2の14歳女児。2年前の夏から秋に肺炎で入院した際、嚥下造影検査で嚥下障害を認め、誤嚥性肺炎と診断され経鼻胃管で経管栄養が開始された。13歳時の秋にも肺炎で入院し、睡眠時の低酸素血症を指摘され在宅酸素が導入された。14歳時の夏、発熱、咳嗽を認め1病日に近医受診し、細菌性肺炎として抗菌薬を開始された。症状持続し20病日に当科受診し、胸部X線写真で両肺野の透過性低下を認めた。非定型肺炎と考えられ抗菌薬を変更されたが改善なく、36病日当科に入院した。チアノーゼと多呼吸があり、両肺野で捻髪音が聴取された。胸部CT検査で両側びまん性にすりガラス陰影を認め、LD 657 IU/l、KL-6 2,699 U/mlと上昇を認めた。家族に住環境を尋ねたところ、3年前に築40年の木造平屋住宅へ転居していたことが判明した。病歴や住環境、臨床所見から過敏性肺臓炎が疑われ酸素投与のみで経過観察したところ症状は改善した。血清抗Trichosporon Asahii抗体陽性を認め、夏型過敏性肺臓炎と診断した。自宅環境の整備に取り組んだ後は再燃はなかった。
考察
重症心身障害児での過敏性肺臓炎の報告はわれわれが検索するかぎりなかった。当初重症心身障害児のため誤嚥性肺炎や喀痰排泄困難による細菌性肺炎の治癒遅延と思い込んでいた。また重症心身障害児では労作時呼吸困難に気付きにくいことも診断までに時間を要した原因と考えられた。重症心身障害児でも反復する気道症状の鑑別の一つとして過敏性肺臓炎を挙げることが早期の診断と治療に重要と考えられた。