抄録
はじめに
重症心身障害者に対する肺内パーカッションベンチレーター(以下、IPV)の効果については多数の報告がある。しかし、動脈血炭酸ガス分圧(以下、PCO2)のモニタリングが推奨されているにもかかわらず、IPV施行中のPCO2を連続的にモニタリング・評価した報告はない。そこで今回、当院入所者1名に対し、IPV施行中に動脈血酸素飽和度(以下、SpO2)、脈拍数(以下、PR)、PCO2を連続的にモニタリングしたので報告する。
方法
対象は39歳男性(脳性麻痺)である。GMFCSレベル5、喉頭気管分離で24時間人工呼吸器管理、食事は胃瘻から注入。胸郭変形が高度で、痰が多く非常に粘稠なため、2010年5月よりIPVを週1回開始。2013年5月からSpO2、PRに加えPCO2のモニタリングも実施。作動圧は20psi、頻度と時間はEasy Position 5分、Average Position 5分、3時方向2分、Average Position 3分の計15分とし、開始時(0分)/開始5分後(5分)/開始10分後(10分)/開始12分(12分)/終了時(15分)/終了後5分(20分)の値を記録。PCO2のモニタリングには経皮的炭酸ガス分圧測定器を使用。検定はWilcoxon符号付き順位和検定を使用。
結果
0分/5分/10分/12分/15分/20分の平均値は、SpO2(%)は97.4/99.1/99.2/98.8/99.1/98.5、PR(bpm)は98.5/92.8/92.5/96.3/92.2/95.5、PCO2(mmHg)は42.1/39.6/37.2/35.5/34.5/37.9であった。SpO2は開始時と比してすべての時間で有意に上昇していた。またPRは12分後以外で、PCO2はすべての時間で有意に下降していた。すべての回で終了後の呼吸音は大きくなり、吸引で痰の排出も認められた。IPV開始から現在まで肺炎の罹患はない。
考察
SpO2、PR、呼吸音、排痰の結果から、IPVは効果があると言える。PCO2は下降しているが呼吸抑制は認められておらず、安全にIPVを実施できていると考えられる。今後、症例数を増やし、モニタリングを継続することで、安全にIPVを施行するための設定の検討や効果との関連を検討していきたい。