日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-1-F17 流行性ウィルス感染症発生ゼロを目指して
峯崎 眞佐人
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2014 年 39 巻 2 号 p. 303

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抄録
はじめに 集団生活を行う入所施設では様々な流行感染症がひとたび発症すると蔓延する傾向にある。2011年〜2013年に重症心身障害児(者)病棟でインフルエンザ感染症およびノロウィルスによる感染性胃腸炎が発生した。これを機に「持ち込まない」、「持ち込ませない」を目標として感染防止対策を行った。その結果、流行性感染症が発生することなく経過したので報告する。 目的 今回実践した対応策を後方視的に検討し、実施した感染対策の有効性を検証する。 方法 今回対策として重点的に行った、面会者の体調の問診の徹底、職員の体調管理、父母の会への院内感染防止対策に対する教育、職員およびその家族がインフルエンザ罹患した際の対応について検証する。 結果 当病院重症心身障害児(者)病棟における患者120名において、2013年4月より2014年6月時点でのインフルエンザ感染症やノロウィルスによる感染性胃腸炎の発生がなかった。 考察・結語 職員発生時の暴露後予防内服(希望者)、患者への暴露後治療内服が、有用であったと考えるが、濃厚接触者の定義を見直すことで不必要な与薬を減らせるものと考える。これまでの感染症発生の調査を行った際、暴露源不明の症例が多くかつ、面会日後1週間以内に流行性感染症が発生していることが判明していた。原因として、保護者等の面会時の面会簿記入や体調チェックが十分機能していないことが考えられたため、面会者体調チェックの義務化を行った。また、保護者に対しては、面会日を利用し感染対策について教育を行った。職員への学習会も必要時病棟単位で行った。今年度、宮崎県および、当病院周辺地域でも、流行性感染症が流行していたが、患者への感染症発生が無く経過した要因としては、職員および保護者の健康管理の意識向上や、面会者への体調チェックの徹底が考えられる。引き続き「持ち込まない」「持ち込ませない」を目標に感染管理に努めていきたい。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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