日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-1-G09 当園における動的脊柱装具(プレーリーくん® )の使用状況と装着効果についての検討
伊藤 恭江高橋 陽子竹内 佑子安藤 邦人間 由実目崎 未央松下 功小西 徹
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 39 巻 2 号 p. 310

詳細
抄録

はじめに 重症心身障害児者の症候性側弯に対し、梶浦らによって開発された動的脊柱装具が用いられ、多様な面での有効性が報告されている。今回、当園における使用状況をまとめ、装具装着の効果について検討したので報告する。 対象 当園で動的脊柱装具を作製した36名で、年齢は5〜43歳(平均17.5歳)、GMFCSは平均4.6であった。本研究の目的と方法を事前に全対象者と介護者に説明し、研究協力の同意を得た。 方法 1)脊柱X-Pを元に、装具導入前後の側弯の経時的変化と、撮影毎に装着・非装着時のCobb角の差を調べ、側弯に対する装着効果を検討した。2)担当理学療法士に装具作製の目的およびその効果、介護者に装着時間・頻度および日常生活の変化について、記述式で調査した。 結果 半年以上経過した19名では、側弯が5度以上改善6名、維持6名、5度以上進行7名で、進行例は10代の症例が多い傾向があった。改善例と進行例の平均装着時間には差がなかった。Cobb角や装具装着時の姿勢の改善以外に、生活場面では18名に効果があり、痛みの軽減、咳嗽がしやすい、分泌物を排出しやすい、嘔吐の減少、等であった。代表的な例としては、症例1:装着でCobb角53度から45度に改善、症例2:排気ができ嘔吐が減少、症例3:両手動作が可能になった、症例4:更衣や食事等が自立、症例5:座位時の痛みが軽減、等があった。 考察 本研究では、動的脊柱装具による側弯の予防的な効果はあるとは言い切れなかった。しかし、側弯進行例においても生活場面での効果が得られ、ほとんどの症例で装具の必要性を感じ、使用を継続している。側弯改善例の結果を合わせると、症候性側弯をもつ症例に動的脊柱装具の導入は効果的であったと考える。今後も、ADL動作や日中活動をより向上させる手段の一つとして、動的脊柱装具の活用を検討していきたい。

著者関連情報
© 2014 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top