抄録
はじめに
重症心身障害児(以下、重症児)の姿勢ケアは変形拘縮予防だけでなく、日常生活活動、社会参加において非常に重要である。しかし、頭部不安定や気管切開をしている場合は頭部・体幹を後傾させた姿勢を取らざるを得ない。頭部・体幹後傾姿勢では休息姿勢となりやすく、視線は常に前上方となり、周囲の状況を捉えにくい。その結果、能動的に活動に参加することが難しくなる。今回、頭部保持具であるHeadpod導入により日常生活に変化がみられた重症児の症例について報告する。
対象
ティルトリクライニング式車いすを使用中の重症児(脳性麻痺アテトーゼ型14歳、GMFCSV、大島分類4、喉頭気管分離術施行)1名を対象とした。
方法
Headpod装着前後の安定した座位が可能となる車いすのティルト、リクライニング角度、座位姿勢をSPCM(Seated Postural Control Measure)(88点満点)を用いて評価した。また、保護者や日常生活に関わるスタッフから装着前後の違いについてアンケート調査実施した。
結果
Headpod装着前後の車いすティルト角度(20°→0°)、リクライニング角度(20°→5°)、SPCMスコア(69→81)と改善がみられた。また、アンケート結果では「車いすをより起こせるようになった」「視線を前方に向けられるようになった」「笑顔が増えた」「活動時に以前より積極的になった」など日常生活において変化がみられた。
考察
Headpodにより頭部が安定した結果、車いすをより垂直に起こしても姿勢が崩れにくくなり、安定した姿勢で視線を前方に向けられることが可能となった。これは抗重力位姿勢となる座位場面において体重の約8%ある頭部をサポートし免荷したことにより、重力による体幹の崩れが軽減したためと考える。
まとめ
日本ではHeadpodを使用した報告は少ないが、欧米では重症児に使用している場面が複数見られている。今後、Headpodが重症児の活動や社会参加の新しい支援につながるよう広めていきたい。