抄録
はじめに
腰痛は看護・介護業務において問題となっている。当病棟も腰痛が深刻化している。当センターは、開設時に天井走行式リフト・床走行式リフト・トランスボード・ロールマットなどの移乗補助具(以下、補助具)が設置されているが、使用していない状況がある。腰痛の実態と補助具を使用していない理由を明らかにしたので報告する。
対象と方法
病棟職員(支援科、看護科)29名、データ収集方法はカルテおよび、質問紙調査を行った。
結果
受診を必要とする腰痛は男性よりも女性が統計学上有意に高く、入職年数が増えるほど腰痛が統計学上有意に強くなるといった関連がみられた。また移乗が必要なあらゆる場面で腰痛が多発していることがわかった。入職前腰痛がなかった人にも、入職後には腰痛の出現の増加があった。補助具の存在を20%以上が認知していなかった。使用方法を周知している人ほど腰痛が強いといった統計学上有意な関連がみられた。補助具を使用しない理由として時間がかかる、手間がかかる、対象者がいない、自信がない、使用しないでトランスする業務が定着している、バッテリーが重いなどがあり、使わなくなってしまった経緯があった。
考察
厚労省の指針によれば、体重50kgの女性が1人で抱き上げられる利用者の体重は16.8kgで、2人で抱き上げられる重量は33.6kg以下としている。現行の2人介助での抱き上げる移乗介助では該当利用者23人中10人が、その上限を超えていて補助具を使用する対象であり、補助具を有効に使用する必要があると考えた。補助具の使用方法を習得している人が少ない実態から、まずは補助具についての使用方法を習得し積極的に導入していく必要があることがわかった。