抄録
目的
CT画像を用いた重症心身障害児(者)の胸郭変形の計測により、「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」を計測することにより、胸郭変形の程度を示すことができることを確認した。この結果を基に、「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」の計測を非侵襲的に行う方法(以下、非侵襲的な方法)を考案することを目的とした。
方法
1年以内に撮影された37名の重症心身障害児(者)のCT画像を用いて、「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」を計測した。
非侵襲的な方法は、背臥位で、マルチン式人体計測器を用いて実施した。2台のプラットフォームの間に5cmの隙間を作り、被験者の胸骨剣状突起がその直上に位置するようにした。
方法1として触覚計のアームの内側で胸骨剣状突起とその直下の脊椎棘突起を挟んだ。その際の触覚計の傾斜角度を、デジタル角度計を用いて計測した。
方法2では桿状計を用いた。上方のブレード(横尺)の先端を胸骨剣状突起、下方のブレードを直下の脊椎棘突起にあて、各々のアンソロポメーターまでの距離および上下のブレード間の距離を計測した。胸骨剣状突起および脊椎棘突起のアンソロポメーターまでの距離の差を算出した。この差と上下ブレード間の距離を用いて、「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」を算出した。
研究は北海道医療大学リハビリテーション科学部倫理委員会および北海道済生会西小樽病院倫理委員会の承認を受け実施した。
結果
CT画像から得られた角度と、方法1および方法2で得られた角度の各々の相関関係をSpearmanの順位相関係数を用いて求めた。相関係数はそれぞれ、0.71、0.59であり、両方法とも相関関係の強さはModerate to goodであった。
結論
両方法とも「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」を非侵襲的に計測できる方法であることが確認された。