抄録
はじめに
重症心身障害児者(以下、重症児者)の活動の取り組みに視覚機能は大きく影響する。複数の重症児者が同じ活動を共有する場合、各々の粗大運動機能や視覚機能の差に対し配慮が必要である。今回、重症児者の視覚評価を行い粗大運動機能との関係を検討した。
対象・方法
対象は施設入所の全盲を除いた重症児者63名とした。
方法1)エアハート発達学的視覚評価にて滑動性追跡眼球運動、衝動性眼球運動を評価し4グループに分類した(A:双方に問題なしB:滑動性追跡眼球運動に問題なしC:衝動性眼球運動に問題なしD:双方とも不可能または部分的な制限あり)。さらに各グループのGMFCSLevelVの対象者が占める割合を比較した。
方法2)グレーティング検査にて縞視力を60cmの距離で測定し、各GMFCSLevelによる差異をマンホイットニーのU検定を用いて比較検討した。
方法3)対象者の担当支援職員に活動の際の視覚機能についてアンケート調査を行った。
結果
1)A:19名(30.1%)、B:5名(7.9%)、C:10名(15.8%)、D:29名(46.0%)であり、そのうちGMFCSLevelVの対象者はA:6名(17.1%)、B:2名(5.7%)、C:5名(14.3%)、D:22名(62.9%)であった。C・Dは上下・斜め方向の制限が多く、左右方向の制限は認めなかった。
2)縞視力の平均はGMFCSLevelII:8.0cpd、III:2.9cpd、IV:4.4cpd、V:2.2cpdであった。LevelV群と他群の間に有意差を認めた(p<0.05)。
3)職員が活動で提示した物を注視した対象者は13名であり、活動以外の場面で自分から注視する物がある対象者は40名であった。
考察
GMFCSLevelVの者は他群より眼球運動に制限があり縞視力が低かった。活動には各々の視覚機能の考慮が必要だが、GMFCSLevelの違う複数の者が同じ活動を行う際、提示物は縞視力の結果を考慮する・ゆっくり左右に動かす・よく注視している物を用いる等の支援により提示物を見やすくなると思われる。それにより活動への興味、理解が増すと思われる。