抄録
目的
ラモトリギン(LTG)は興奮・不眠など精神賦活の問題をときに生じる。その精神作用と患者の気質の関係を検討した。
対象
てんかん治療にLTGを投与した重症児者施設入所者8名・通所者1名。症例3以外バルプロ酸併用。症例1 37歳女性で大島分類2(新生児仮死、低出生体重、6カ月時点頭てんかん)、症例2 48歳女性で大島分類1(原因不明、幼児期てんかん)、症例3 43歳女性で大島分類1(原因不明、6カ月時点頭てんかん)、症例4 29歳男性で大島分類1(原因不明、退行、麻痺進行)、症例5 33歳男性で大島分類1(ダウン症、5歳より退行、がくんとなる発作)、症例6 48歳男性で大島分類5→1(松果体腫瘍術後知的障害とてんかん)、症例7 44歳男性で大島分類5(原因不明、3歳時LG症候群)、症例8 33歳女性で大島分類5(原因不明、5カ月時けいれん、11カ月時重積)、症例9 36歳男性で大島分類10(Angelman症疑)。
方法
LTGの精神作用と簡単な言葉の理解(A)・人とのやり取りの興味(B)・傾眠傾向(C)・不随意運動(D)の有無の検討。
結果
症例1はA−、 B−、C+、D−で5錠/日継続中、症例2はA+、B−、C+、D−で4錠/日継続中、症例3はA−、B−、C+、D−で8錠/日継続中、症例4はA−、B−、C+、D−で6錠/日継続中、症例5はA−、B−、C+、D−で8錠/日継続中、症例6はA+、B+、C+、D+で4錠/日で不随意運動増強と嘔吐のため2錠へ、症例7はA+、B+、C−、D−で4錠/日で興奮と不眠強く1錠/日へ、症例8はA+、B+、C−、D−で7錠/日で同室者へまとわり強く中止、症例9はA−、B+、C−、D−で1錠/日で興奮と不眠で中止。
A+/−は4/5、B+/−は4/5、C+/−は6/3、D+/−は1/8名。9名中5名LTG継続可、2名中止、2名減量を要した。B(+)の4名中2名で中止し2名で減量を要したが、B(−)の5名は問題なく継続。C(−)の3名中2名は中止し1名は減量を要したが、C(+)の6名中1名のみ減量。
まとめ
人とのやり取りの興味を持つ者や傾眠のない者でLTGの精神賦活の問題が起きやすかった。症例を増やし検討する必要がある。