抄録
本研究は公法人立重症心身障害児施設に入所し、大島の分類1~4に属する重症心身障害児(者)の男女の割合と年齢の35年間にわたる横断的実態と経年推移を明らかにすることを目的とした。分析では新規入所者、退所者、継続と新規を含む全入所者の3群を対象とした。新規入所者と退所者の男女の割合は35年間おおむね一定であり、男性が約55%、女性が約45%であった。全入所者は1979年度約50%と同等であったが、その後35年間で男性の割合が54%まで漸増し、女性の割合が46%まで漸減した。この経年推移は新規入所者の男女の割合が影響を及ぼしていたと解釈した。年齢の推移は、中央値でみると全入所者が1979年度16歳から2013年度38歳と高年齢化し、6.5歳/10年の増加率であった。新規入所者は1979年度12歳から2013年度25歳となり、3.8歳/10年の増加率であった。退所者の年齢推移は全入所者と類似していた。この結果から、全入所者の年齢の経年変化は、継続入所者(新規入所者、退所者を除く)が高齢化していったことと、新規入所者の入所時年齢が継続入所者より相対的に低かったことによると推察した。