日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-1-G04 重症心身障害児「家族不在時の訪問看護」の実態把握
長田 安子土屋 由利子五島 敦子高橋 由起子
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 40 巻 2 号 p. 215

詳細
抄録
目的 NICU等で濃厚な医療ケアに支えられていた超重症児・準超重症児(以下、重症児)の多くが在宅へ移行している。しかし、在宅生活を維持するための社会資源は限られている。そのような現状で「家族不在時の訪問看護」(以下、不在時看護)は必要な社会資源の1つであると考え利用背景と関連要因について検証した。 方法 東京都在宅重症心身障害児(者)訪問事業を2013年11月現在利用している保護者215名に調査票を配布。倫理的配慮として、調査の主旨と匿名性の保持など書面で説明し同意を得た。 結果 調査票の回収率は70%。対象児の年齢は3歳が最も多く、3歳以下が全体の60%を占めていた。超重症児スコアは超重症児・準超重症児を合わせて約70%。退院してからの在宅年数は、1年未満27%。きょうだいの有無では56%が有りと回答。社会資源は99%が利用していた。不在時看護の利用の有無では、あり46%なし52%。不在時看護利用に関連する要因として、年齢(2歳以下・3歳以上)と短期入所利用状況との関係では有意差を認めた。通園利用状況でも有意差を認めた(p<0.01)。不在時看護利用の有無ときょうだいの有無では、正の相関を認め有意差も認めた(r=0.2, p<0.01)。自由記載で得られた不在時看護への感想・要望から【利用条件】【支援内容】【看護体制】【申請・決定方法】【存続】【その他】の6つのカテゴリーを抽出した。 考察および結論 不在時看護は、1.主たる療育者のレスパイトや家族全体のQOL支援として期待されている。2.自宅で安心・安全に預かる資源として必要である。3.きょうだい支援や家族機能を維持する支援として必要である。今後の課題として、家族主体のレスパイトケアのできる体制作りと、重症児看護の経験と専門性を持つ人材の確保が必要であると考える。
著者関連情報
© 2015 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top