2018 年 25 巻 2 号 p. 234-236
はじめに:胸郭出口症候群(TOS)の症状は多彩であり肘痛を訴えるものは少なくない.また治療方針の決定も難しい場合がある.
対象と方法:投球側肘周囲痛を主訴に来院したオーバーヘッドスポーツ選手940例の診断名を調査し,TOSの有病率を求めた.次にTOS単独病変例を保存療法で復帰できた群と手術を要した群に分け,初診時における症状,理学所見,超音波所見などを比較した.
結果:TOSと診断されたのは184例であり,74例はTOS単独病変例であった.保存群は44例,手術群は30例であり,手術群においてしびれのVAS,Wright test,Roos 15の陽性率が有意に高く,斜角筋三角底辺間距離(ISD)が有意に狭かった.
結語:肘痛を主訴とするTOSは19.6%であった.保存療法に抵抗し手術を要した群の特徴として,しびれが強く,Roos 15陽性率が高く,ISDが狭いことが明らかとなった.