日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
IV.スポーツ障害
肘痛を主訴とするオーバーヘッドスポーツ選手における胸郭出口症候群の関与
武長 徹也古島 弘三草野 寛船越 忠直宮本 梓伊藤 雄也宇良田 大悟堀内 行雄伊藤 恵康
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2018 年 25 巻 2 号 p. 234-236

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抄録

 はじめに:胸郭出口症候群(TOS)の症状は多彩であり肘痛を訴えるものは少なくない.また治療方針の決定も難しい場合がある.

 対象と方法:投球側肘周囲痛を主訴に来院したオーバーヘッドスポーツ選手940例の診断名を調査し,TOSの有病率を求めた.次にTOS単独病変例を保存療法で復帰できた群と手術を要した群に分け,初診時における症状,理学所見,超音波所見などを比較した.

 結果:TOSと診断されたのは184例であり,74例はTOS単独病変例であった.保存群は44例,手術群は30例であり,手術群においてしびれのVAS,Wright test,Roos 15の陽性率が有意に高く,斜角筋三角底辺間距離(ISD)が有意に狭かった.

 結語:肘痛を主訴とするTOSは19.6%であった.保存療法に抵抗し手術を要した群の特徴として,しびれが強く,Roos 15陽性率が高く,ISDが狭いことが明らかとなった.

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© 2018 日本肘関節学会
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