日本重症心身障害学会誌
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O-2-G06 当科における重症心身障害児に対する腹腔鏡下噴門形成術治療成績の検討
坂井 宏平田尻 達郎
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2015 年 40 巻 2 号 p. 238

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抄録
目的 重症心身障害児(以下、重症児)の胃食道逆流症(GERD)に対する噴門形成術の術式はDor法などのanterior wrappingとToupet法、Nissen法などのposterior wrappingに大別される。当科では2002年から腹腔鏡下手術を導入し、2010年まで主にanterior wrappingを施行、2011年からposterior wrappingを第一選択としている。今回その治療成績に関して検討した。 対象と方法 2002年から2014年までに重症児に対して施行した腹腔鏡下噴門形成術症例29例を対象とした。全32例の平均年齢は12.3歳(0〜39歳)であり、16歳以上の症例は12人であった。性別では男児22例、女児7例であった。術式は再手術も含め、Dor法13例、Toupet法3例、Nissen法13例であった。Dor法をanterior wrapping(AW)としToupet法・Nissen法をposterior wrapping(PW)として後方視的に検討した。 結果 同時に胃瘻造設を施行したのは28例であった。AWとPWでは手術時間、食事開始時期について統計学的有意差は認めなかった。術中出血量はAWよりもPWの方が有意に少なく、入院日数においてはAWよりもPWが有意に短かった(p<0.05)。再発率に関してはAWで13例中3例(23%)、PWで16例中1例(6.25%)であった。AWの再発症例3例には半固形栄養を導入して経過観察中である。PWのうちToupet法の1例で再発し、再手術を施行したが、Nissen法では再発は認めなかった。 考察 当科において重症児に対する噴門形成術の治療成績では、PWの方がAWよりも術中出血量や再発率の面からもより有用な術式であった。また、PWにおいてもNissen法は再発を認めず重症児では推奨される術式であった。
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