抄録
目的
在宅重症心身障害児者(重症児者)施策推進の基礎資料とするため、愛知県は2014年8〜10月に県内の重症児者の実態調査(郵送による無記名式質問紙調査)を実施した。名古屋市を除く県内の重症児者1,929人のうち、在宅者(在宅およびグループホームで生活)は1,474人で、このうち68.8%(985人)から有効回答を得た。本研究では在宅者の医療状況について検討した。
方法
調査結果を超重症児者・準超重症児者スコア(以下、重症児スコア)に可能なかぎり対応させて医療的重症度を検討した。医療的処置の必要度については2005年度の調査(在宅重症児者の回答者605人)と2014年度の調査を比較検討した。
結果
82.7%が定期的に医療機関に通院しており、11.7%が訪問診療、15.2%が訪問看護、23.2%が訪問リハビリテーションを受けていた。重症児スコア10点以上は17.3%、25点以上は4.5%であった。年齢別では、重症児スコアが10点以上は10歳未満26.7%、10歳代19.0%、20歳代20.3%、30歳代10.4%、40歳代7.2%、50歳代3.8%で年齢とともに低くなっていた。25点以上も同様に年齢が低いほど高率で、10歳未満10.3%、10歳代7.0%、20歳代2.9%、30歳代1.0%、40歳代1.0%、50歳代0%であった。医療的処置の頻度は(2005年度調査、2014年度調査)は、口鼻腔吸引26.3%、25.3%、気管切開6.1%、10.1%、在宅酸素5.5%、5.9%、人工呼吸器2.8%、5.9%(2014年度の人工呼吸器使用者の実数は58人)、経管栄養全体23.6%、25.8%、経鼻経管栄養14.5%、6.4%、胃瘻7.4%、19.4%、導尿4.3%、4.1%であった。
考察
低年齢ほど医療重症度が高く、7年間で気管切開者が増加し、人工呼吸器使用者が倍増、経鼻経管栄養から胃瘻へ移行していることが確認できた。既存(4施設)と新設(4施設)の重症児者施設を中心に、医療依存度の高い在宅重症児者の増加にみあった施策(在宅医療の充実、短期入所病床の増床など)を推進していく必要がある。