日本重症心身障害学会誌
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O-2-G11 大学病院からの訪問診療システムの立ち上げ
田中 総一郎
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2015 年 40 巻 2 号 p. 240

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抄録
目的 在宅人工呼吸療法などの濃厚な医療を必要としているために通院が困難な在宅患者さんのお宅へ定期的訪問診療を行うことで、大学病院までの受診による負担を軽減することができる。また、患者さんの普段の生活やご家族の状況を知り、より良い医療とより深みのある医療を提供できることを目的とする。 対象 東北大学病院で診療している在宅患者、特に在宅人工呼吸器療法など濃厚な医療が必要で通院が困難な患者さんを対象として、その同意を得て、計画的な医学管理の下に定期的に訪問する。 方法 1.大学受託事業「小児在宅医療支援センターの設置」により借り上げたレンタカーで訪問する。 2.事前に電話連絡等で、体調についての聞き取り、必要な院外処方内容の聞き取り、在宅療養指導管理料や在宅医療材料料による物品の準備を行う。 3.ご自宅で診療を行い、院外処方箋の発行、必要物品の引き渡しを行う。 4.2〜3カ月に一回の割合で、大学病院への受診を促し、必要な検査や他科受診を予定する。 5.診療報酬は、在宅患者訪問診療料(833点、4歳未満は+400点)、在宅療養指導管理料・在宅療養指導管理材料加算、薬剤料、特定保険医療材料料を請求する。 結果と効果 2015年度より開始し、9歳女児(ネマリン・ミオパチー、在宅人工呼吸器装着)と3歳女児(非特異的肺気腫、気管気管支軟化症、気管切開、在宅酸素療法)に対して、訪問診療を行った。酸素ボンベや人工呼吸器などを持ち運びながら医療機関へ移動する負担は大きく、混雑する駐車場の待ち時間や、外来診察から会計を回り在宅物品の受け取りなど、受診日はほとんど一日がかりとなってしまい、患者さんやご家族へのストレスは大きい。定期的な訪問診療では、この負担を軽減することができる。また、自宅では患者さんはリラックスしており、本来の生活の様子を見ることができ、ご家族のいろいろな相談や困りごとにも対応しやすい。
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© 2015 日本重症心身障害学会
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