日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-1-C14 睡眠障害のある重症心身障害児(者)へのオルゴール音楽を取り入れた関わり
山本 梨絵林 明子高畑 卓子芝山 和則高橋 久恵
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 40 巻 2 号 p. 263

詳細
抄録
目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は不安や気分障害、中枢の機能障害のために睡眠リズムが不整でしばしば不眠が見られる。オルゴール音楽は睡眠障害に有効との研究があるため、重症児(者)にもオルゴール音楽が催眠効果や中途覚醒に有効か検証する。 方法 消灯から入眠までに1時間以上を要する、または中途覚醒があり睡眠時間が継続しない重症児(者)10名を選出。オルゴール音楽のCDを20時から4時まで流す。第1期:音楽非介入期、第2期:音楽介入期、第3期:音楽非介入期に分け、各28日間、21時から4時まで1時間毎に睡眠状態を記録。消灯から熟眠に要する時間は、測定開始から熟眠判定した時間を算出。睡眠状態については覚醒3点、浅眠1点、熟眠0点で調査し、中央値の比較とウィルコクソン検定を行う。 結果 消灯から熟眠に要する時間において、第1期と第2期では中央値は1.5時間から0.75時間となり熟眠までに要する時間は短縮された。第2期と第3期を比較し、中央値は0.75時間から2時間となり熟眠までに要する時間が延びた。睡眠状況において、第1期と第2期では中央値は9.5点から7点となり、熟眠、浅眠が増加した。第2期と第3期の比較では中央値は7点から9点となり、オルゴール音楽を中止した後も効果の持続がみられた。 考察 重症児(者)は中枢神経系に障害を持つことから、睡眠−覚醒パターンを整えるケアは重要である。今回、オルゴール音楽を睡眠前に流すことでヒーリングミュージックによるリラクゼーション効果が導かれ、副交感神経優位の状態に変化したと考えられる。また、侵襲が少なく簡易的なオルゴール音楽を取り入れたことで重症児(者)の心理的安定を促進し催眠状態に導くことが出来たと考える。 結論 睡眠前よりオルゴール音楽を取り入れることで、睡眠−覚醒パターンに変化が見られたことから、重症児(者)に対しても有効であることが明らかになった。
著者関連情報
© 2015 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top