日本重症心身障害学会誌
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P-1-D09 重症心身障がい児(者)の食事介助における三角食べ介助と単品食べ介助に関する検討
清水 早苗中井 朱梅米田 敏樹權野 さおり
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2015 年 40 巻 2 号 p. 270

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抄録
はじめに 重症心身障がい児(者)(以下、重症児)の食事介助で、単品食べ介助の方がスムーズに摂取するという意見が、患者家族や医療従事者から聞かれる。重症児は、摂食行動における認知期の障害や口腔内の過敏などの障害をもっていることが多く、口腔内に取り込んだ食品の変化や味が混じることにすみやかに対応できず、スムーズな摂食行動を阻害しているのではないかと考えた。味や食感などの変化の場面を減少させることで、不快が少なく、食物の取込から嚥下までが混乱なくスムーズにできるのではないかと思い、今回2通りの介助方法で違いがあるか検証した。 方法 食事全介助患者(27名)を対象に、三角食べ介助(主食と副食を順繰りに介助)と単品食べ介助(1品ずつ介助)を実施。患者の様子と、介助のしやすさの違いを研究者が作成したスケールを用い、得点制で調査。スケールは、苦悶表情、患者個々の嫌のサイン、ムセ、介助のしやすさ、介助時間の5項目で、介助時間を除く4項目を5点満点の5段階で評価し、スムーズなほど高得点になるよう配点した。 結果 対象27名のうち、拒否や苦痛が少なくスムーズに摂取できたのが、単品食べ介助で24名、三角食べ介助で1名、変化なしが2名であった。項目別平均では、全項目において三角食べ介助より単品食べ介助の点数が高かった。 考察 今回の結果から、単品食べ介助の方がスムーズに摂取できている重症児が多いことがわかった。食べさせ方の違いがスムーズな摂食に影響することが明らかになった。また、介助者に三角食べ介助と単品食べ介助に意識を向けることができ、自身の手技の見直しのきっかけとなった。しかし、児の嗜好や介助者と患児(者)の相性、手技にも大きく影響を受けることが研究の限界としてある。口腔機能の発達の遅れや異常、精神発達遅滞、認知障害等が三角食べと単品食べに及ぼす影響について、さらなる検証が必要である。
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© 2015 日本重症心身障害学会
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