抄録
はじめに
入園前に全介助にて経口摂取していた児が、入園後に嚥下機能が低下し経管栄養となった。胃瘻造設を医師より勧められた小2のとき母親は前向きではなかったが、中2になり造設を決意された。母親が造設を決意するに至った思いを知り、どのような支援が必要かを明らかにした。
研究方法
全介助にて経口摂取していたが嚥下機能低下により胃管を使用した中学生の重症心身障がい児(大島分類1)の母親に半構成インタビューを行い、質的帰納的分析を行った。当園倫理委員会と母親の了解を得た。
結果
造設を決意するに至った思いから【『食べること』における親役割の変化】【『妹との関係性を広げること』への思い】の2つのカテゴリーが抽出された。入園前に「食べること」ができていたが、入園後、機能低下からできなくなった。在宅で過ごす同級生が食べれるのに、この子が食べれないのはおかしい、子どもの外見上、管がない方がいいと感じ、看護師等からの情報で経鼻栄養の必要性を感じていたが「食べること」にこだわっていた。また、妹が成長に伴い兄と距離を置く行動がみられた。子どもが手術に耐えうる時期まで手術は急がなくてもいいと夫婦で結論を出し、中2のときに仕事の休みが確保できたので手術を決意した。
考察
母親は食べることにこだわり、最後は妹との関係性を考え胃瘻造設を選択した。当学園では年2回の多職種会議で情報共有を行っているが、母親がこのような心の過程を経て決断していたことは知り得なかった。事例を振り返り、親子が周囲に気兼ねなく過ごせる環境や、自分の思いを安心して話せる環境の提供が必要であった。看護師は相手を理解しようとする姿勢を持ち、知りえた情報を多職種で共有し、相手の状況を承知したうえでの思いやりのある言葉がけを行うことが今後の具体策を家族と共に見出す支援となろう。